
建設業許可は取得して終わりではありません。有効期間は5年で、更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失います(建設業法第3条第3項)。
実務で注意したいのは、更新申請書の作成だけではありません。更新までの5年間に、決算変更届の未提出や各種変更届の届出漏れがないか、経営業務の管理体制や営業所技術者等に変更がなかったかを確認する必要があります。こうした事項に未対応のものがあると、更新直前に対応が必要になることがあります。
この記事では、建設業法上の全国共通ルールと宮城県知事許可の実務を分けて整理します。大臣許可や他都道府県の知事許可では、一部取扱いが異なる場合があるため、管轄行政庁の最新の手引きや案内を確認してください。
建設業許可の有効期間は5年です
この5年という有効期間は、知事許可・大臣許可を問わない全国共通のルールです。更新は、まず自社の満了日を正確に押さえるところから始まります。
満了日は「許可日から5年目の応当日の前日」です
宮城県の手引きは、許可の有効期間について「許可のあった日から5年目の許可日に対応する日の前日をもって満了します」「有効期間の末日が日曜日等の行政庁の休日であっても同様の取扱いになります」としています(宮城県「建設業許可の手引き」P.15)。休日でも翌開庁日にずれない点に注意してください。
更新準備では、まず許可通知書で許可の有効期間を確認し、満了日を正確に把握しましょう。
更新申請後に満了日を迎えても、処分までは従前の許可が有効です
更新の申請があった場合に、有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は満了後も処分がされるまでの間は効力を有します(建設業法第3条第4項)。また、更新がされたときの新しい有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算します(同条第5項)。
これは審査中に有効期間が満了した場合の効力を定めた規定です。申請書をいつまでに出すかは別に定められており、更新申請書は有効期間満了の日の30日前までに提出しなければなりません(建設業法施行規則第5条)。
有効期間を過ぎると許可は失効し、あらためて申請が必要になります
有効期間を過ぎてからの更新はできません。宮城県も「許可の有効期間を経過した場合、許可の更新はできません」としています(宮城県「建設業許可Q&A」A5-2)。
宮城県知事許可では、申請区分の「新規」を「現在『有効な許可』をどこの許可行政庁からも受けていない場合」と定めています(宮城県「建設業許可の手引き」P.24)。他に有効な許可がない状態で失効した場合、再び許可を受けるにはこの「新規」の区分で申請することになります。申請手数料は一般・特定の別にそれぞれ納入し、更新は5万円、新規は9万円です(同P.24)。
許可がない状態では、軽微な建設工事を超える工事を請け負えません。軽微な建設工事とは、建築一式工事以外では1件の請負代金が500万円未満の工事をいいます。建築一式工事では、1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅を建設する工事(主要構造部が木造で、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するもの)をいいます。請負代金はいずれも消費税を含んだ金額です(建設業法第3条第1項、建設業法施行令第1条の2第1項、手引きP.1)。
失効は元請や取引先との取引にも影響します。有効期間満了日の管理は、事務手続きではなく事業継続に関わる管理事項です。
宮城県知事許可の更新申請|受付期間・予約・提出先
ここからは宮城県知事許可の場合の取扱いです。大臣許可や他都道府県の知事許可では、取扱いが異なる場合があります。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 受付開始 | 有効期間満了日の3か月前から | 宮城県「許可後の手続きについて」/Q&A A5-1 |
| 申請期限 | 有効期間満了日の30日前まで ※宮城県の手引きP.23では「1か月前まで」とも案内されています。 |
建設業法施行規則第5条/宮城県Q&A A1-6・A5-1/手引きP.23 |
| 書面申請の提出先 | 主たる営業所の所在地を管轄する土木事務所 | 宮城県Q&A A1-10/手引きP.25 |
| 申請手数料 | 一般建設業・特定建設業の別にそれぞれ、更新・業種追加は5万円、新規・許可換え新規・般特新規は9万円(組合せの場合は加算) | 手引きP.24 |
| 予約 | 更新は予約対象。予約可能な日程・時間帯は各土木事務所の受付フォームで確認。先着順 | 宮城県「建設業許可の手引き」P.23/電子申請版手引きP.4 |
| 予約申込開始 | 大河原・北部・気仙沼は希望日の31日前、仙台・東部は60日前 | 同上 |
| 標準処理期間 | 申請書が受理されてから35日(審査状況によってはこれ以上かかる場合がある) | 宮城県「建設業の許可について」 |
| 電子申請 | JCIPの対象(新規・更新・業種追加)。ただし別途要件審査(対面または郵送)を受ける必要がある | 電子申請版手引きP.1・P.4 |
「30日前に申請しても審査に35日かかるなら、許可が切れるのでは」と思うかもしれません。宮城県は標準処理期間を「申請書が受理されてから35日」と公表し、審査状況によってはこれ以上かかる場合もあるとしています。ただし更新を申請していれば、満了日までに処分がされなくても、処分がされるまで従前の許可は効力を有します(建設業法第3条第4項)。許可が切れた状態にはなりません。
宮城県は更新申請の注意点として「更新の申請を行う前に、必要な変更届出書(決算変更届を含む)を全て提出してください」と案内しています(宮城県「許可後の手続きについて」)。更新準備では、まず届出状況を確認しておきましょう。
予約は先着順で、希望日時に予約できない場合があります。審査日も土木事務所によって異なるため、予約が遅れると期限内の申請が難しくなる場合があります。最新の予約状況を早めに確認してください。なお、各種変更届は予約不要です。窓口提出の場合は、月曜日から金曜日(閉庁日を除く)の各管轄土木事務所の申請受付時間中に提出します。決算変更届等、一部の変更届出書は郵送による提出も可能です(手引きP.24、P.115)。
更新と般・特新規や業種追加を同時に申請する場合、宮城県は「あらかじめご相談の上、許可の有効期間が十分(2か月程度)残っているうちに窓口に申請してください」としています(手引きP.25)。通常より早く動く必要があります。
更新前に決算変更届の提出状況を確認します
建設業許可を受けている事業者は、毎事業年度終了後4か月以内に、工事経歴書や財務諸表など所定の書類を決算変更届として提出する必要があります(建設業法第11条第2項)。税務申告とは別の手続きで、税務申告をしていても決算変更届を提出したことにはなりません。
工事実績の有無にかかわらず、決算変更届は毎年提出する必要があります。宮城県の建設業許可Q&A(A4-5)も、決算変更届について「毎年必ず提出してください」と案内し、提出期限を事業年度終了後4か月以内としています。
更新前には、過去の決算変更届がすべて提出済みか確認してください。未提出の年度がある場合は、更新申請の前に提出する必要があります。出し忘れに気づいたときの対応は宮城県で建設業許可の決算変更届を出し忘れたら?更新前の対応で詳しく解説しています。
変更届の提出漏れを確認します|期限は変更内容ごとに異なります
変更届の期限は、すべてが30日以内というわけではありません。変更の内容によって、根拠となる条文と期限が変わります。
| 変更の内容 | 届出期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 商号又は名称/営業所の名称・所在地、新設・廃止、業種追加・業種廃止/資本金額/役員等の氏名、新任・退任・代表者変更/個人事業主の氏名/支配人の氏名、新任・退任 | 変更後30日以内 | 建設業法第11条/手引きP.111〜112 |
| 営業所技術者等の交代(置かれなくなった場合に、代わるべき者があるとき) | 変更後2週間以内 | 建設業法第11条第4項 |
| 営業所技術者等・常勤役員等・直接補佐者の氏名変更(人は変わらず氏名だけが変わる場合) | 変更後2週間以内 | 建設業法施行規則第7条の2第1項 |
| 常勤役員等・直接補佐者でなくなった場合、又は建設業法施行規則第7条第1号ハの経営体制に該当しなくなった場合(代わるべき者又は経営体制があるとき) | 変更後2週間以内 | 建設業法施行規則第7条の2第2項 |
| 経営業務の管理体制や営業所技術者等の基準を満たさなくなったとき、欠格要件(建設業法第8条第1号及び第7号〜第14号)に該当するに至ったとき | 該当後2週間以内 | 建設業法第11条第5項 |
| 令第3条に規定する使用人の新任・交代 | 2週間以内 | 建設業法施行規則第8条/宮城県Q&A A4-1/手引きP.112 |
| 決算変更届 | 毎事業年度経過後4か月以内 | 建設業法第11条第2項 |
| 使用人数(様式第四号)、令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第十一号)、定款(法人の場合)の記載事項に変更があった場合 | 毎事業年度経過後4か月以内 | 建設業法第11条第3項/建設業法施行規則第10条第2項 |
| 健康保険等の加入状況(様式第七号の三) | 2週間以内(変更が従業員数のみの場合は毎事業年度経過後4か月以内)。宮城県の手引きは「加入指導時に定められた提出期限又は変更後1か月以内」と案内 | 建設業法施行規則第7条の2第3項/手引きP.115 |
変更事項ごとの添付書類と届出期間は、手引きの変更届一覧表(P.111〜P.115)にまとまっています。役員変更や本店移転などでは、登記を変更していても、建設業許可上の変更届が別途必要になる場合があります。詳しくは宮城県で建設業許可の変更届が必要なケース・不要なケースをご覧ください。
経営業務の管理体制を確認します
建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有することは、許可基準の一つです(建設業法第7条第1号)。このうち、経営業務の管理体制に関する基準は建設業法施行規則第7条第1号に定められています。
経営業務の管理体制には、常勤役員等のうち一人が所定の経験を有する場合のほか、所定の経験を有する常勤役員等と、その者を直接補佐する者を置く体制など、複数の適合方法があります(建設業法施行規則第7条第1号)。
許可取得時に基準を満たしていても、更新時点で同じとは限りません。常勤役員等や直接補佐者の退任・退職、代表者・役員構成の変更があった場合は、現在の体制で基準を満たしているかを早めに確認してください。要件の考え方は建設業許可の経営業務管理責任者とは?該当する人・しない人で整理しています。
営業所技術者等の常勤性と要件を確認します
営業所技術者等(旧・専任技術者)は、営業所ごとに置く、一定の資格や経験を有する技術者です。一般建設業では「営業所技術者」(建設業法第7条第2号)、特定建設業では「特定営業所技術者」(同法第15条第2号)とされ、一般建設業か特定建設業か、また許可業種によって必要な資格・経験が異なります。
更新前には、届け出ている営業所技術者等が現在もその営業所に常勤しているかを確認します。宮城県では、更新時の確認資料として現在の常勤性を証明する資料を求めています。営業所技術者等の退職・交代や他営業所への異動、許可業種の追加などがある場合は、必要な変更届が提出されているか、現在の者が必要な資格・経験を満たしているかも確認してください。要件と資格は建設業許可の営業所技術者等(旧・専任技術者)とは?で解説しています。
更新前セルフチェック
更新前に、次の項目を確認してみてください。一つでも確認できない項目がある場合は、満了日が近づく前に状況を整理しておきましょう。
- 許可通知書で許可の有効期間と満了日を確認した
- 受付開始日(満了日の3か月前)と申請期限(30日前)を確認した
- 過去の決算変更届がすべて提出済みである
- 役員変更、本店移転、商号変更、営業所の新設・廃止・移転などの変更届に提出漏れがない
- 経営業務の管理体制が現在も基準を満たしている
- 営業所技術者等が現在もその営業所に常勤している
- 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況を確認した
更新に向けて集めたい主な書類と確認資料
宮城県知事許可の更新で必要となる書類や確認資料は、一般建設業か特定建設業か、法人か個人事業主か、許可取得後の変更の有無などによって異なります。ここでは、更新準備の段階で手元にそろえておきたい主な資料を確認します。
- 許可通知書、直近の許可申請書・更新申請書の控え
- 過去の決算変更届、各種変更届の控え
- 常勤役員等と営業所技術者等の常勤性を確認できる資料
- 健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、適用事業所等に該当する場合の届出状況を確認できる資料(建設業法施行規則第7条第2号)
- 役員等について必要となる「登記されていないことの証明書」「身元(身分)証明書」
- 登記事項証明書(商業登記がある場合)
- 財産的基礎を確認するための資料(必要となる場合)
宮城県の「建設業許可の手引き(電子申請版)」P.4でも、更新時の要件審査に必要となる確認資料が案内されています。なお、財産的基礎等を確認する資料は1回目の更新の場合に必要とされています。
必要書類は申請内容によって異なるため、実際に申請書を作成する際は宮城県の最新の手引きと提出書類一覧で確認してください。
初回の更新でも財産的基礎の確認はあります
財産的基礎又は金銭的信用は、更新時にも確認される許可要件です(建設業法第7条第4号。特定建設業は同法第15条第3号)。一般建設業では、倒産することが明白でなく、かつ、自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力、または許可を受けて継続して営業した過去5年間の実績のいずれかを満たす必要があります(宮城県「建設業許可の手引き」P.21、建設業許可Q&A A3-15)。
新規に許可を受けてから初めての更新でも、宮城県では、建設業の継続についての申立書を提出し、決算変更届で確認できれば5年間の営業実績とみなす取扱いがあります(手引きP.21)。一方、特定建設業は更新時にも財産的基礎の各基準をすべて満たす必要があります(宮城県「建設業許可Q&A」A5-6)。
まとめ|更新は5年間の管理の結果です
- 建設業許可の有効期間は5年です。更新を受けなければ許可は失効し、他に有効な許可がない場合は、再び許可を受けるために新規申請が必要になります。
- 更新申請は有効期間満了日の30日前までに行う必要があります。更新申請後に満了日を迎えても、処分がされるまでは従前の許可が有効です(建設業法第3条第4項)。
- 宮城県知事許可の更新申請は、満了日の3か月前から受け付けています。予約は先着順で、標準処理期間は申請書受理後35日です。
- 更新申請の前に、決算変更届を含む必要な変更届がすべて提出されているか確認してください。
- 経営業務の管理体制、営業所技術者等、社会保険の加入状況、財産的基礎などについて、現在も許可要件を満たしているか確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 有効期間満了日の30日前を過ぎてしまいました。まだ更新できますか?
建設業法施行規則第5条では、更新申請書は有効期間満了日の30日前までに提出することとされています。宮城県も同様に30日前までの更新手続きを案内しています。30日前を過ぎている場合は、自己判断せず、速やかに管轄の土木事務所へ確認してください。
Q2. 税務申告をしていれば、決算変更届は不要ですか?
いいえ。税務申告とは別に、建設業許可上の決算変更届を毎事業年度終了後4か月以内に提出する必要があります。
Q3. 更新申請は電子申請でもできますか?
はい。宮城県知事許可の更新はJCIPによる電子申請ができます。ただし、JCIPで申請する場合も事前に予約し、要件審査を受ける必要があります。要件審査は各土木事務所での対面審査または郵送による書面審査です(宮城県「建設業許可の手引き(電子申請版)」P.4)。
Q4. 業種ごとに許可年月日が違います。有効期間をそろえられますか?
「許可の有効期間の調整(許可の一本化)」という取扱いがあります。現在有効な他のすべての建設業許可を同時に更新することで、許可年月日を同一にできます(宮城県「建設業許可Q&A」A5-3)。一部の業種だけを選んで一本化する取扱いではありません。
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