
建設業許可の申請準備で多くの方が迷うのが、「どの業種の許可を取ればよいのか」という業種判定です。エアコン工事は管工事でよいのか、内装を撤去する工事は解体工事に当たるのか。宮城県で建設業許可を検討する際にも、迷いやすい論点です。
結論からいうと、業種判定は工事名だけでは判断できません。実際の施工内容、契約内容、請負金額、手元の資料で何を証明できるかを確認します。特に注意したいのは、「取りたい業種」と「資料で証明できる業種」が一致しないことがある点です。
迷いやすい工事を先に整理すると、次のようになります。ただし、いずれも工事名だけで業種が決まるものではありません。「まず疑う業種」はあくまで出発点で、実際には右側の分かれ目を確認して判断します。
| 工事例 | まず疑う業種 | 判断の分かれ目 |
|---|---|---|
| エアコン設置 | 管工事 | 原則は管工事。配線・分電盤を伴う場合は電気工事士法等の手続を別途確認 |
| 内装の撤去 | 内装仕上工事 | 専門工事の目的物のみの解体か、建物全体か |
| 土間コンクリート・整地 | とび・土工・コンクリート工事 | 舗装が中心なら舗装工事 |
| ブロック積み | 石工事/タイル・れんが・ブロック工事/とび・土工・コンクリート工事 | 擁壁・法面か、建築物・エクステリアか、土木の大型ブロック据付けか |
| リフォーム一式 | 判定不能 | 施工内容・契約内容から主たる工事を確認。附帯工事に当たるかも確認 |
| 現場応援 | 建設工事に当たらない可能性 | 完成の請負か、人員の供出か |
業種判定は、工事名だけでは判断できません
建設業許可は、建設工事の種類ごとに許可業種が分かれています(建設業法第3条第2項、別表第一)。内装仕上工事業、管工事業、とび・土工工事業、解体工事業、電気工事業は、それぞれ別の業種です。しかし「リフォーム一式」「原状回復工事」「店舗工事」「設備工事」「雑工事」「現場応援」といった現場の呼び名だけでは、業種を判断できません。注文書や請求書のタイトルではなく、見積書の内訳、施工写真、図面、仕様書まで含めて確認する必要があります。29業種の全体像と選び方は建設業許可の29業種とは?選び方と注意点で整理しています。
まず押さえたい基本ルール
500万円未満でも、すぐに「許可不要」とは判断しない
許可が不要となる「軽微な建設工事」の範囲は、建設業法施行令第1条の2第1項に定めがあります。
- 建築一式工事以外の工事:1件の請負代金の額が500万円未満
- 建築一式工事:1件の請負代金の額が1,500万円未満
- 建築一式工事:金額にかかわらず、延べ面積150平方メートル未満の木造住宅を建設する工事
宮城県の手引きでは、この金額はいずれも「消費税を含んだ金額」と明記されています。また、注文者が材料を提供する場合は、その市場価格又は市場価格及び運送賃を請負契約の請負代金の額に加えたものが、基準となる請負代金の額です(同条第3項)。材料の支給を受けている場合、契約書に書かれた金額だけを見ていると、実際には基準を超えていることがあります。工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは各契約の合計額で判断するのが原則で、正当な理由に基づく分割のみ例外です(同条第2項)。許可が必要になる工事の考え方は建設業許可が必要なケース・不要なケースとは?で詳しく整理しています。
3つ目の「木造住宅」には注意が必要です。建設業許可事務ガイドラインでは、「木造」とは建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるものをいい、「住宅」とは住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものをいうとされています。
つまり、木造でも居住部分のない店舗、事務所、倉庫は「住宅」に当たりません。たとえば延べ面積140平方メートルの木造店舗の新築工事は、面積だけを見ると軽微な建設工事に当たりそうですが、「住宅」ではないため、建築一式工事の1,500万円の基準で判断します。面積が150平方メートル未満だからという理由だけで許可不要と判断しないでください。
建築一式工事は「何でもできる許可」ではない
建築一式工事は「総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事」と定義されており、専門工事を単独で請け負うための万能な許可ではありません。内装仕上工事や管工事を単独で請け負う場合は、それぞれの専門工事として確認します。専門工事に1,500万円の基準を当てはめることもできません。
もう一点、実績の整理でも注意が必要です。「総合的な企画、指導、調整」は元請が果たすべき役割とされるため、宮城県の手引きでは、土木一式工事・建築一式工事に該当するのは原則として元請で請け負う工事に限られるとされています。下請で受けた工事は、原則として一式工事の実績にできません。
迷いやすい工事1:エアコン設置工事
建築物の中に設置する空調機器は管工事
建設業許可事務ガイドライン及び宮城県の手引きの工事区分の考え方では、「建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は『管工事』に該当する」とされています。管工事の例示である「冷暖房設備工事」「空気調和設備工事」には、冷媒の配管工事などフロン類の漏洩を防止する工事が含まれます。一方、トンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事は『機械器具設置工事』に該当するとされており、同じ空調・給排気の設備でも、設置される場所によって業種が分かれます。
また、注文者からエアコン本体の支給を受け、取付工事だけを請け負う場合は、先ほどの材料提供の扱いにより、本体の市場価格等を加えた額で500万円の基準を判断します。工事代金だけを見ると軽微な建設工事に見えても、本体価格を含めると基準を超えることがあります。
ただし、専用回路の増設など電気工事を伴う場合は、電気工事としての取扱いを別に確認する必要があります。また、業務用エアコンなど第一種特定製品の冷媒の充填又は回収を業として行う場合は、フロン排出抑制法(フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)に基づく第一種フロン類充填回収業者の登録も必要です。建設業許可や電気工事の手続とは別の制度である点に注意してください。
電気工事は、資格と登録もあわせて確認する
専用回路の増設、分電盤の改修、配線工事が含まれる場合は、電気工事との関係を確認します。さらに、建設業許可とは別に、電気工事士法上の資格や、電気工事業の業務の適正化に関する法律(以下「電気工事業法」といいます)に基づく登録・届出・通知等の手続が必要になる場合があります。
建設業許可を受けている建設業者が電気工事業を営む場合は、改めて登録電気工事業者の登録を受けるのではなく、電気工事業法第34条の特例が適用されます。一般用電気工作物等に係る電気工事を行う場合は「みなし登録電気工事業者」として電気工事業開始届を、自家用電気工作物に係る電気工事のみを行う場合は「みなし通知電気工事業者」として電気工事業開始通知を行う必要があります。つまり、建設業許可を受けているからといって、電気工事業法上の手続が不要になるわけではありません。
この点は実務経験の証明にも関わります。宮城県の手引きでは、他法令(電気工事士法、消防法等)により無資格者による施工が認められていない場合、資格を有しない者の実務経験は認められないとされています。電気工事業についても、登録を受けて営業した期間又は登録を受けた営業所に従事した期間のみが、経験年数として認められる運用です。従業員として経験を積んだ場合も、その営業所が登録を受けていたかどうかが問われるため、当時の登録状況を確認してください。宮城県の手引きでは、その裏付けとして電気工事業法第7条に基づく登録証の写しの提出を求めています。
ここで注意したいのは、建設業許可を受けた建設業者は、電気工事業法第34条によりみなし登録電気工事業者又はみなし通知電気工事業者として扱われ、第3条の登録を受けないという点です。そのため、第7条の登録証は交付されません。手引きが求める登録証の写しを用意できない場合に、代わりにどの書類で証明するのかは、事前に県の窓口へ確認してください。
迷いやすい工事2:内装の撤去・原状回復と解体工事
「壊す工事」の区分には明確な考え方がある
解体する工事の業種区分について、建設業許可事務ガイドライン及び宮城県の手引きは次の考え方を示しています。
- 専門工事で造られた目的物について、それのみを解体する工事は、その専門工事に該当する
- 総合的な企画、指導、調整のもとに建築物や土木工作物を解体する工事は、建築一式工事や土木一式工事に該当する
たとえば、内装仕上工事によって施工された天井、壁、間仕切り、床など、その目的物のみを撤去する工事は、内装仕上工事に該当します。一方、建物全体の解体や、複数の工種にわたる解体では、工事内容に応じて解体工事や一式工事に該当する場合があります。
では、解体工事業はどのような工事を指すのか
解体工事業の内容は「工作物の解体を行う工事」とされています。建物一棟の解体であっても、直ちに建築一式工事になるわけではありません。総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を解体する工事が建築一式工事に区分されるため、そうした役割を担わずに解体そのものを請け負う場合は、解体工事業に該当することが考えられます。
手がかりになるのは、工事全体について総合的な企画、指導、調整を担っていたのか、それとも解体作業そのものを請け負っていたのかという点です。宮城県の手引きでは、「総合的な企画、指導、調整」は元請が果たすべき役割とされているため、元請として請け負った工事かどうかも確認材料になります。ただし、元請であるという理由だけで建築一式工事に決まるわけではなく、実際の工事内容や役割から判断します。
内装仕上工事として整理されることが多い工事
建設業許可事務ガイドラインの別表では、内装仕上工事の例示として、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事などが挙げられています。ただし、サッシやシャッターの取付けは建具工事、外壁のサイディング工事はタイル・れんが・ブロック工事として例示されています。なお、「ふすま工事」は内装仕上工事と建具工事の双方に例示されており、サイディングも材質によって取扱いが分かれることがあります。例示だけで決めきらず、施工内容から確認してください。
解体工事は、業種判定とは別に「登録」の確認が必要
解体工事業登録に、請負代金の下限はない
解体工事には、建設業許可とは別に、建設リサイクル法第21条第1項に基づく解体工事業登録の制度があります。土木工事業、建築工事業又は解体工事業の許可を受けている場合は対象外ですが、そうでない場合は、工事を行う区域を管轄する都道府県知事の登録が必要です。登録は工事を行う区域ごとに必要になるため、宮城県外でも施工する場合は、その都道府県の登録もあわせて確認します。
もっとも、ここでいう「解体工事業」とは、建築物等を除却するための解体工事を請け負う営業をいいます(同法第2条第11項)。建築物の除却を伴わない内装の撤去のみを請け負う場合は、この登録の対象になるとは限りません。自社の工事がどちらに当たるかを先に整理してください。
もう一つの例外が、附帯工事として行う解体工事です。国土交通省の建設リサイクル法質疑応答集では、附帯工事として解体工事を行う場合、解体工事業者の登録は不要とされています。ただし、その附帯工事が軽微な建設工事に当たらない場合は、後述する建設業法第26条の2第2項の制約を受けます。
ここで見落とされやすいのが、この登録に請負代金の下限がないという点です。建設リサイクル法第21条には請負代金による登録免除の規定はなく、宮城県も、軽微な解体工事を行う場合には解体工事業登録が必要と案内しています。
前述の附帯工事などに当たる場合を除き、土木工事業・建築工事業・解体工事業の建設業許可を受けていない場合は、500万円未満の解体工事だけを請け負うときでも、解体工事業を営むには登録が必要です。「500万円未満だから何の手続もいらない」と考えていると、無登録のまま工事を続けてしまうおそれがあります。登録を受けずに解体工事業を営んだ場合は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象とされているため(同法第48条第1号)、請負金額の大小にかかわらず確認が必要です。なお、かつてとび・土工工事業の許可で解体工事を施工できた経過措置は、令和元年5月31日で終了しています。現在、工作物の解体を行う解体工事として500万円以上の工事を請け負う場合は、解体工事業の建設業許可が必要です。500万円未満の軽微な解体工事のみを請け負う場合でも、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれの許可も受けていないときは、建設リサイクル法に基づく解体工事業登録が必要です。ただし、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を解体する工事は建築一式工事に当たるため、この場合の軽微な建設工事の基準は1,500万円未満です。
実務経験として数えられる期間にも制限がある
解体工事業の登録制度は、建設リサイクル法第五章の規定として平成13年5月30日に施行されました。宮城県の手引きでは、建設リサイクル法施行後の解体工事の経験は、土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可、又は建設リサイクル法に基づく解体工事業登録で請け負ったものに限り、経験年数として認めるとされています。裏を返せば、施行日以後に、当時必要であった許可・登録を受けずに請け負った解体工事は、注文書や施工写真が残っていても実務経験としては認められません。ただし、平成28年5月31日以前にとび・土工工事業の許可で請け負った解体工事には別の取扱いがあります。この点は後述します。
もう一つ押さえておきたいのが、業種としての解体工事業が新設されたのは平成28年6月1日で、それ以前の解体工事はとび・土工工事業として施工されていたという点です。さらに、平成28年6月1日の時点でとび・土工工事業の許可を受け、解体工事業を営んでいた建設業者については、令和元年5月31日までの3年間、解体工事業の許可がなくても解体工事を施工できる経過措置が設けられていました。そのため、過去の実績を年数として数えるときは、工事の時期と当時の許可・登録の状況をあわせて確認する必要があります。
この確認をしやすくするため、とび・土工工事業の許可だけを受けていた場合に、建設リサイクル法の解体工事業登録が必要だったかどうかを時期ごとに整理します。過去の工事をさかのぼるときは、現在の基準をそのまま当てはめないでください。
| 時期 | とび・土工工事業の許可だけの場合の解体工事業登録 |
|---|---|
| 平成13年5月30日~平成28年5月31日 | 不要(制定時の第21条第1項が、土木工事業・建築工事業・とび・土工工事業の許可を除外対象としていた) |
| 平成28年6月1日~令和元年5月31日 | 経過措置の対象であれば不要(平成28年6月1日の時点で許可を受け、解体工事業を営んでいた業者に限る) |
| 令和元年6月1日以降 | 必要(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの許可を受ける方法もある) |
平成28年6月1日より後にとび・土工工事業の許可を受けた場合は、経過措置の対象になりません。この場合は、当初から、工事規模等に応じて解体工事業の建設業許可又は解体工事業登録が必要でした。
この点について、建設業許可事務ガイドラインは、平成28年5月31日までにとび・土工工事業の許可を受けて請け負った解体工事の経験を、解体工事業の実務経験の期間に算入できるとしています。さらに、実務経験は経験期間が重複する場合、原則として二重に計算しませんが、この期間については、平成28年6月1日以降、とび・土工工事業及び解体工事業双方の実務経験の期間として二重に計算できるものとして取り扱うとされています。宮城県固有の運用ではなく、全国共通の取扱いです。ただし、実務経験として数えられるかどうかと、当時その工事を適法に請け負えていたかは別の問題です。上の表のとおり、時期によって必要な許可・登録が異なるため、工事時期とあわせて確認してください。
迷いやすい工事3:外構・土間・コンクリートまわりの工事
とび・土工・コンクリート工事に当たるケース
建設業許可事務ガイドラインの別表では、とび・土工・コンクリート工事に「外構工事」も例示されています。駐車場の土間コンクリート打設、敷地の整地・盛土、掘削・根切り、アンカー工事などが該当する可能性があります。
ブロック積みは、とび・土工工事とは限らない
外構工事で特に迷いやすいのが、ブロックを積む工事です。建設業許可事務ガイドライン及び宮城県の手引きは、次のように区分しています。
- 根固めブロック、消波ブロックなど、土木工事で規模の大きいコンクリートブロックを据え付ける工事は、とび・土工・コンクリート工事
- 擁壁としてコンクリートブロックを積み、又ははり付ける工事や、法面処理として行う工事は、石工事
- コンクリートブロックにより建築物を建設する工事は、タイル・れんが・ブロック工事。エクステリア工事として行う場合を含む
同じ「ブロックを積む工事」でも、何のために積むのかで業種が分かれます。また、舗装が中心であれば舗装工事、植栽や庭園まわりが中心であれば造園工事との関係を確認します。宮城県の手引きでは、樹木の剪定、除草、伐根、伐採や除雪は建設工事に含まれないものとされています。一方、維持管理業務の名称で契約されたものであっても、工事完成を目的とした部分が含まれる場合は、その工事部分を完成工事高に含めることができるとされ、新たな植栽工事や樹木育成を目的とした土壌改良・支柱設置、それに伴う剪定などが例示されています。
迷いやすい工事4:リフォーム一式・複数工事をまとめて請けるケース
リフォーム工事や店舗改装工事では、内装、電気、管工事、解体、外構など複数の作業が一つの契約に含まれることがあります。この場合、まず中心となる工事を確認します。手がかりになるのが見積書の内訳金額です。
宮城県の手引きでは、工事経歴書について、1件の請負契約を複数の工種に分割して記載することはできないとされています。そのうえで、附帯工事がある場合など1件の請負契約に複数の工種が含まれる場合は、見積書等を参照し、費用の割合がもっとも大きい工種に対応する建設工事の種類に計上するとされています。工種の切り分けを感覚で決めず、見積書の金額で確認する手がかりになります。
ただし、これはあくまで工事経歴書への計上方法です。実際にどの業種の許可が必要か、残りの工種を附帯工事として扱えるかは、別に判断する必要があります。「一式」と書いてあるから一つの業種で足りるとは限りません。
附帯工事は「請け負えるか」と「施工できるか」を分ける
建設業者は、許可を受けた建設業の工事を請け負う場合、その工事に附帯する他業種の工事も請け負うことができます(建設業法第4条)。附帯工事とは、主たる工事の施工により必要を生じた従たる工事、又は主たる工事を施工するために生じた従たる工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいいます。国土交通省は、前者の例として「管工事の施工に伴って必要を生じた熱絶縁工事」、後者の例として「屋内電気工事の施工に伴って必要を生じた内装仕上工事」などを挙げています。
附帯工事に当たるかどうかは、主たる工事の施工に伴って必要となる従たる工事か、それ自体が独立した使用目的に供されるものではないかを確認します。具体的には、注文者の利便や請負契約の慣行、主たる工事と一連・一体の工事として施工する必要性・相当性などを総合的に検討して判断します。
そして、附帯工事として整理できても、実際の施工には制約があります。宮城県の手引きでは、附帯工事であって500万円以上のものを自ら施工する場合は、その工事について主任技術者の資格要件を満たす者(専門技術者)を置く必要があります。専門技術者を置くことができない場合は、その工事業の許可を受けた建設業者に施工させなければなりません(建設業法第26条の2第2項)。なお、同項は「軽微な建設工事」を除外しており、建築一式工事以外では500万円未満が軽微な建設工事とされています(建設業法施行令第1条の2第1項)。
実績資料で施工内容を説明できるか確認する
実務経験をもとに営業所技術者等の要件を確認する場合、その業種の工事を実際に行ってきたことを資料で説明する必要があります。要件そのものについては建設業許可の営業所技術者等(旧・専任技術者)とは?で、証明でつまずきやすい実例については建設業許可の実務経験10年の証明で失敗しやすいポイントで整理しています。
「雑工事」「一式」は補足資料で説明できるか確認する
注文書や請求書に「雑工事」「リフォーム一式」としか書かれていない場合は、見積書・内訳書、施工写真、図面・仕様書、工事内容がわかるメールなどで施工内容を補足できるか確認します。工事名だけでは弱くても、補足資料によって説明できる場合があります。
「現場応援」は、そもそも建設工事に当たらない場合がある
一方、「現場応援」には別の注意が必要です。宮城県の手引きは、建設工事に含まれないものとして次を挙げています。
工事現場で作業に従事する人員の供出(いわゆる人工出し、常傭契約、応援)
建設業とは、建設工事の完成を請け負う営業をいいます(建設業法第2条第2項)。そのため、「応援」「常傭契約」といった名称や精算方法だけで判断するのではなく、実際に建設工事の完成を請け負う契約だったかどうかを確認する必要があります。まず、契約内容について次の点を確認します。
- 自社が担当する施工範囲が具体的に定められていたか
- その施工範囲について、工事を完成させる責任を負う契約だったか
- 契約上、報酬の対象が単なる人員の提供ではなく、工事の完成という結果に対するものとなっていたか
名称が「応援」であっても、実態として建設工事の完成を請け負う契約であれば、建設工事に該当する可能性があります。宮城県の建設業許可Q&Aでも、建設工事に該当するかどうかは、契約形態にかかわらず発注者との契約内容により判断されるとされています。
申請前に確認したいポイント
取得したい業種と、自社の施工内容が合っているか
その業種の実績を注文書・請求書・見積書などで説明できるか
工事件名が「一式」「雑工事」「現場応援」のみになっていないか
複数業種が含まれる場合、見積書の内訳で主たる業種を確認できるか
建築一式工事以外の500万円基準を、税込・支給材料を含めて確認しているか
木造住宅の150平方メートル基準は、居住の用に供する部分の割合も確認しているか
解体工事の実績は、工事当時の建設業許可・解体工事業登録の状況を確認しているか
電気工事の実績は、工事当時の資格・電気工事業の登録等の状況を確認しているか
エアコン工事で電気工事や冷媒の充填・回収を伴う場合は、電気工事士法・電気工事業法・フロン排出抑制法上の手続も確認しているか
まとめ
業種判定では、工事名ではなく、施工内容、契約内容、請負金額、証明資料を総合して確認します。解体工事は当時の許可・登録、電気工事は資格や登録、「現場応援」は建設工事の完成を請け負う契約だったかどうかなど、工事ごとに確認すべきポイントが異なります。
工事区分の基本的な考え方には全国共通のルールがありますが、工事経歴書への計上方法や実務経験の確認資料などには宮城県の運用があります。宮城県で申請する場合は、最新の法令・手引きを確認し、判断に迷う場合は県の窓口又は専門家に確認してください。
※この記事は令和8年度版の宮城県の手引き等に基づいています。実際の申請では最新の法令・手引きをご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. エアコン工事は管工事ですか?
建設業許可事務ガイドライン及び宮城県の手引きでは、建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は管工事に該当するとされています。ただし専用回路の増設や配線工事を伴う場合は、電気工事士法・電気工事業法上の手続も確認が必要です。業務用エアコンなどの冷媒の充填又は回収を業として行う場合は、フロン排出抑制法に基づく第一種フロン類充填回収業者の登録もあわせて確認します。
Q2. 内装の撤去や建物一棟の解体は、解体工事業になりますか?
一律には決まりません。専門工事で造られた部分だけを撤去する場合は、その専門工事に区分されることがあります。建物一棟の解体も、工事全体について総合的な企画・指導・調整を担うかどうかなどにより、解体工事業か建築一式工事かが分かれます。
Q3. 500万円未満の解体工事なら、何の手続もいりませんか?
いいえ。 500万円未満であっても、建築物等を除却するための解体工事を請け負う場合、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれの許可も受けていなければ、建設リサイクル法に基づく解体工事業登録が必要です。ただし、主たる他の工事に附帯して行う解体工事は、解体工事業登録の対象外とされています。
Q4. 解体工事の実務経験は、無登録の時期のものでも認められますか?
原則として、当時必要な許可・登録を受けずに請け負った工事は実務経験として認められません。ただし、平成28年5月31日以前にとび・土工工事業の許可を受けて請け負った解体工事は、解体工事業の実務経験に算入できる取扱いがあります(建設業許可事務ガイドライン)。工事時期と当時の許可・登録状況を確認してください。
Q5. 「現場応援」で受けていた仕事は、実務経験として使えますか?
名称が「応援」であるだけでは判断できません。単なる人員の供出は建設工事に含まれませんが、実態として建設工事の完成を請け負う契約であれば、建設工事に該当する可能性があります。契約名称ではなく、発注者との契約内容を確認します。
建設業許可の業種判定で迷っている方へ
「どの業種で許可を取ればよいかわからない」「手元の注文書や請求書で申請できるか不安がある」。このような場合は、工事内容と資料の整理から始めることが大切です。
お問い合わせの際は、注文書・請求書・見積書など、工事内容がわかる資料がお手元にあればご用意ください。すべて揃っていなくても、現在お持ちの資料から確認できる場合があります。お問い合わせフォームからご連絡ください。
運営事務所:行政書士村上敦志事務所