宮城県で自宅兼事務所の建設業許可は取れる?

宮城県で自宅兼事務所の建設業許可は取れる?

自宅兼事務所でも、宮城県で建設業許可を取得することは可能です。ただし、自宅を所在地にしているだけでは足りません。建設業許可でいう営業所は、請負契約の見積り、入札、契約締結などを実際に行う拠点だからです。

宮城県では、営業所の確認を写真台紙で行います。外観、入口、内部の状況を写真で示し、営業所として使える場所かを確認されます。

自宅兼事務所で確認するポイント

  • 居住部分と明確に区分された事務室があるか
  • 事業用として使える使用権原を説明できるか
  • 外観全景・入口付近・内部前景を写真で示せるか
  • 常勤役員等と営業所技術者等を置けるか
  • 許可を受けた後、自宅に許可票を掲示できるか

この記事では、建設業法、宮城県「建設業許可の手引き」令和8年3月改定版、宮城県「建設業許可Q&A」に沿って、自宅兼事務所での確認点を整理します。

自宅兼事務所でも建設業許可は取得できる

建設業法第3条では、建設業を営もうとする者は、軽微な工事だけを請け負う場合を除いて、29業種ごとに国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければならないとされています。軽微な工事は、次のとおりです。

  • 建築一式工事:1件の請負代金が税込1,500万円未満の工事または請負代金の額にかかわらず、延面積150㎡未満の木造住宅を建設する工事(木造住宅とは、主要構造部が木造で、延面積の2分の1以上を居住の用に供するものをいいます)
  • 建築一式工事以外の建設工事:1件の請負代金が税込500万円未満の工事

この金額を超える工事を請け負う場合は、許可の要否を早めに確認する必要があります。許可が必要になる場面は、建設業許可が必要なケース・不要なケースとは?で整理しています。

営業所は単なる住所ではない

建設業許可でいう営業所は、単なる住所や郵便物の受け取り場所ではありません。宮城県のQ&Aでは、単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所などは営業所に該当しないとされています。

宮城県の手引きでは、営業所について次の要件が示されています(同手引きP.14)。

  1. 請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
  2. 電話、机、各種事務台帳等を備え、居住部分等とは明確に区分された事務室が設けられていること
  3. 建設業の経営経験を有する役員等、または建設業法施行令第3条の使用人が常勤していること
  4. 営業所技術者等が常勤していること

営業所要件だけでは許可は決まらない

自宅兼事務所が営業所として使えるかは、許可要件の一部にすぎません。宮城県の手引きでは、許可を受けるために備えるべき資格要件として、経営業務の管理を適正に行うに足りる能力(経営業務の管理責任者の体制と、社会保険への加入)、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎等、欠格要件等の5項目が挙げられています(同手引きP.15〜22)。

そのため、「自宅を営業所として使えるか」と「建設業許可を受けられるか」は、分けて考える必要があります。5つの要件の全体像は、建設業許可の要件とは?5つの要件をわかりやすく解説で確認できます。

宮城県では写真台紙で営業所を確認する

写真台紙に記載する事項

写真台紙の様式は、宮城県土木部事業管理課のホームページに掲載されています。申請または届出の時点の状況を撮影し、営業所名、使用権原(自己所有、賃貸借の別)、撮影年月日を明記します(同手引きP.33)。使用権原とは、その場所を事業用として使える権利や根拠のことです。

県の様式を使わず、デジタルカメラで撮影したものを印刷して提出することもできます。その場合も、用紙に上記の事項と撮影場所を明記します。

撮影する4か所

撮影箇所は次のとおりです(括弧内が写真で確認される内容)。

  1. 外観全景(看板等を確認できるもの)
  2. 入口付近(表札等を確認できるもの)
  3. 内部前景(電話、机等の什器備品を確認できるもの)
  4. 建設業の許可票(標識の記載内容が判読可能なもの)

建設業の許可票は、新規許可申請の場合は不要です。また、アパートやマンションなど、入居者案内板等がある建物では、それらの写真も添付します。

自宅兼事務所では、特に入口付近と内部前景が重要です。表札、ポスト表示、事務机、電話、書類保管場所を写真で示せる状態にしておきます。看板を設置できない場合は、表札やポスト表示、入居者案内板を含めて所在をどう示すかを整理しておきましょう。

登記事項証明書や賃貸借契約書は一覧に挙げられていない

宮城県の手引きでは、営業所所在地の確認資料として営業所の写真が挙げられており、建物の登記事項証明書や賃貸借契約書は、この一覧には挙げられていません(同手引きP.33)。

ただし、使用権原の確認自体が不要になったわけではありません。営業所所在地に疑義がある場合には、必要に応じて追加資料の確認を求められることがあります。

自宅兼事務所で見られる営業所要件

居住部分と明確に区分されているか

自宅兼事務所で特に重要なのは、居住部分との区分です。リビングや寝室の一角に机を置くだけでは、営業所として説明しにくい場合があります。事務室として使う部屋、書類保管場所、玄関からの動線を整理しましょう。

完全な別棟である必要はありませんが、生活スペースと事務スペースが混在していると、営業所としての独立性を示しにくくなります。写真台紙で伝わりにくい場合は、間取り図を添えると整理しやすくなります。

電話・机・書類保管場所があるか

写真台紙の内部前景では、電話、机、各種事務台帳等の什器備品が確認されます。次の点を確認しておきましょう。

  • 事務用の机があるか
  • 電話など連絡手段があるか
  • 建設業に関する書類を保管できるか
  • 生活用品と事業書類が混在していないか
  • 来客や郵便物の確認ができるか

常勤役員等と営業所技術者等を置けるか

営業所には、建設業法施行規則第7条第1号に定める常勤役員等(経営業務の管理責任者)または建設業法施行令第3条の使用人が常勤し、さらに営業所ごとに営業所技術者等が常勤して専らその職務に従事する必要があります(一般建設業は建設業法第7条第2号、特定建設業は同法第15条第2号)。自宅兼事務所であっても、この要件が緩和されるわけではありません。それぞれの要件は、建設業許可の経営業務管理責任者とは?該当する人・しない人建設業許可の営業所技術者等(旧・専任技術者)とは?で解説しています。

特に、一人親方や個人事業主が自ら営業所技術者等となる場合は、現場との兼務に注意が必要です。営業所技術者等は営業所に常勤して専らその職務に従事することが原則であり、宮城県の「建設業許可Q&A」(Q3-12)でも、営業所技術者等は原則として工事現場への配置はできないとされています。

ただし、例外が認められる場合があります。主任技術者または監理技術者を専任で配置する必要がない工事については、その営業所で請負契約が締結された工事で、現場の職務に従事しながら営業所の職務にも実質的に従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあることなどの要件を満たす場合は、工事現場の配置技術者となっても営業所に常勤しているものとできる、とされています(同手引きP.40、国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」二-二(5))。

これとは別に、建設業法第26条の5には、その営業所で締結した請負契約に係る工事について、請負代金の額、営業所と工事現場との間の移動時間や連絡方法、情報通信技術を利用した確認体制などの要件をすべて満たす場合に、営業所技術者等が主任技術者等の職務を兼ねられる特例が定められています。宮城県の「建設業許可Q&A」(Q3-12)にも、この特例に対応する兼任の要件が示されています。自ら営業所技術者等となって現場にも出る予定がある場合は、工事の内容や金額、契約した営業所、現場までの距離などから個別に判断する必要があるため、あらかじめ管轄の土木事務所へ確認しておきましょう。

物件の状況別に確認すべき点

区分 主な確認点
持ち家(本人名義) 使用権原を自己所有として説明しやすい。ただし、事務室としての区分と写真台紙の整理は必要
家族名義の自宅 所有者の承諾関係を説明できるようにしておく。所有者や使用関係に疑義があれば、追加の確認が入る可能性がある
賃貸住宅 使用目的が居住用のみに限定されていないか。事務所利用・法人利用の禁止規定、看板・表札・ポスト表示の制限、貸主の承諾なく用途変更できない規定がないか
分譲マンション 自己所有でも、管理規約で事務所利用や看板表示が制限されていることがある。不特定多数の出入りが制限される場合もあり、必要に応じて管理組合にも確認する

賃貸住宅や分譲マンションを営業所とする場合は、事務所・事業利用や看板・表札の表示が契約や管理規約上認められているか、事前に確認しておきましょう。

登記上の所在地と実際の営業所が違う場合

法人の本店登記だけを別の住所に置き、実際は自宅で業務を行っている場合があります。宮城県の建設業許可Q&A(Q1-11)では、実際に営業を行っている営業所が建設業法上の営業所に該当するとされており、申請先も、その営業所を管轄する土木事務所になります。

申請書に所在地を記載する場合は、登記上の所在地と事実上の所在地を二段書きで記載する取扱いが示されています。

許可を受けた後は自宅に許可票を掲げる

建設業法第40条では、建設業者は、その店舗および発注者から直接請け負った建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に所定の標識(建設業の許可票)を掲げなければならないとされています。自宅を建設業法上の営業所としている場合は、その自宅が標識を掲げるべき店舗に当たります。

なお、工事現場への標識の掲示が必要なのは、発注者から直接工事を請け負った元請業者です。下請として工事に入る場合の現場掲示は、建設業法改正により不要となりました。ただし、営業所への掲示義務は元請・下請の別にかかわらず生じます。

許可を受けた後に標識を掲示できないという事態を避けるため、賃貸住宅や分譲マンションでは、物件を選ぶ段階か、遅くとも申請前には掲示場所を確保できるか確認しておきましょう。

申請前に確認したいチェックリスト

宮城県の「建設業許可Q&A」(Q1-7)でも、営業所の要件として、手引きと同じ内容が示されています。申請の前に、次の点を整理しておきましょう。

このチェックリストを満たしていても許可が確約されるわけではありませんが、自宅を営業所として申請する前の確認事項として整理しておくとよいでしょう。

宮城県内の窓口と申請前の準備

宮城県知事許可を書面で申請する場合は、主たる営業所の所在地を所轄する土木事務所に申請書類を提出します。宮城県内の申請先・相談窓口は次の5か所です。

所管区域(主たる営業所の所在地) 申請先・相談窓口 所在地・電話番号 許可申請等の審査日 予約開始
白石市、角田市、刈田郡、柴田郡、伊具郡 大河原土木事務所 庶務担当 柴田郡大河原町字南129-1(大河原合同庁舎3階)
/0224-53-3135
月・火・木・金 予約希望日の31日前
仙台市、名取市、岩沼市、塩竈市、多賀城市、富谷市、亘理郡、黒川郡、宮城郡 仙台土木事務所 総務班 仙台市宮城野区幸町4-1-2
/022-297-4113
月~金 予約希望日の60日前
大崎市、栗原市、加美郡、遠田郡 北部土木事務所 庶務担当 大崎市古川旭4-1-1(大崎合同庁舎5階)
/0229-91-0731
月・火・木 予約希望日の31日前
石巻市、東松島市、登米市、牡鹿郡 東部土木事務所 総務班 石巻市あゆみ野5-7(石巻合同庁舎5階)
/0225-98-3157
月~金 予約希望日の60日前
気仙沼市、本吉郡 気仙沼土木事務所 総務班 気仙沼市赤岩杉ノ沢47-6
/0226-22-2622
月・火・木・金 予約希望日の31日前

※許可申請等の審査日は、祝日等の閉庁時を除きます。また、都合により予約実施日が変更・休止される場合があります。

※申請先は、会社の本店登記の所在地ではなく、建設業を実際に営む主たる営業所の所在地を基準に判断します。

宮城県では、新規・更新・業種追加などの許可申請のほか、電子申請に係る事前要件審査や事前相談、予備審査についても、予約による申請への協力が求められています。予約は管轄する土木事務所ごとに、みやぎ電子申請サービスの窓口予約フォームから行います。回線の不調等によりフォームを利用できない場合は、電話による予約も受け付けられます(同手引きP.23〜24)。

申請手数料は、一般建設業・特定建設業の別にそれぞれ納入し、新規(許可換え新規、般・特新規を含む)は9万円です(同手引きP.24)。申請区分の組み合わせによっては加算されます。この手数料は許可申請の審査に対するものであるため、不許可になった場合でも還付されません。

新規申請については、宮城県知事許可の場合、許可申請書の受付後おおむね35日の期間を要するとされています(同手引きP.25)。ただし、審査状況によっては、それ以上の期間がかかる場合があります。

写真台紙や営業所に関する確認資料に不備があると、要件の確認や受付に時間がかかることがあります。前章のチェックリストに沿って、申請前に整理しておきましょう。

営業所以外の要件でも、確認資料がそろわずに受付や審査で止まることがあります。新規申請で確認しておきたい点は宮城県の建設業許可|新規申請で失敗しやすいポイント10選にまとめています。

まとめ

要点は次の3つです。

  • 自宅兼事務所でも、居住部分と明確に区分された事務室があり、営業所としての実体を備えていれば、建設業許可の営業所として認められる可能性があります。許可を受けるには、ほかの許可要件も満たす必要があります。
  • 宮城県では、写真台紙に使用権原を記載し、外観全景、入口付近、内部前景の写真で営業所を確認します。
  • 賃貸住宅やマンションでは、事業利用と表示の制限を確認します。許可後は、自宅に許可票を掲げる必要があります。

まずは、営業所として使う場所を写真台紙の項目に沿って確認し、使用権原と居住部分との区分を整理しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自宅兼事務所でも建設業許可は取れますか?

取得できます。居住部分と明確に区分された事務室があり、営業所としての実体を説明できることが前提です。ただし、営業所要件だけで許可が決まるわけではありません。経営業務の管理を適正に行うに足りる能力など、5つの資格要件もあわせて確認されます。

Q2. 登記事項証明書や賃貸借契約書は提出しますか?

営業所所在地の確認資料としては営業所の写真が挙げられており、登記事項証明書や賃貸借契約書は手引きの一覧にありません。ただし、疑義がある場合は追加で資料を確認する旨が記載されているため、契約内容や承諾関係は説明できるようにしておきましょう。

Q3. 自宅の外に看板を出せない場合はどうしますか?

写真台紙では、外観全景で看板等を確認することとされ、入居者案内板等がある建物ではその写真も添付します。表札やポスト表示とあわせて所在を示せるかを確認し、迷う場合は管轄土木事務所に相談してください。

Q4. リビングの一角でも営業所になりますか?

リビングの一角に机を置いているだけでは、営業所として説明しにくい場合があります。独立した事務室として整理できるかが重要です。写真や間取り図で示せる状態にしておきましょう。

Q5. 法人の登記上の住所と自宅が違う場合はどうしますか?

実際に営業を行っている営業所が、建設業法上の営業所に該当します。申請もその営業所を管轄する土木事務所で行い、申請書には登記上と事実上の所在地を二段書きで記載する取扱いが示されています。

Q6. 許可を取った後、自宅に許可票を掲げる必要はありますか?

必要です。建設業法第40条により、店舗ごとに公衆の見やすい場所へ掲示することとされ、自宅兼事務所では自宅が対象になります。賃貸借契約や管理規約の表示制限を、事前に確認しておきましょう。

ご相談・お問い合わせ

自宅兼事務所での申請は、居住部分との区分をどう説明するかが要になります。撮影の前に、事務室として使う部屋、什器備品、書類の保管場所を整理しておきましょう。

当事務所では、宮城県内・仙台市周辺の建設業許可について、営業所要件の確認、使用権原の整理、写真台紙・間取り図の準備、申請書類の作成を支援しています。建設業許可の取得を検討している方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。

運営事務所:行政書士村上敦志事務所

この記事を書いた人 Wrote this article

村上敦志