宮城県の建設業許可|新規申請で失敗しやすいポイント10選

宮城県の建設業許可|新規申請で失敗しやすいポイント10選

建設業許可の新規申請では、要件を満たしていることと、それを資料で証明できることは別です。「経験年数は十分ある」と思っていても、証明資料がそろっていなければ、追加資料の提出や補正を求められることがあります。

宮城県では申請時に予約への協力が求められています。不備があると補正が必要になることがあるため、事前確認が重要です。この記事では、新規申請で失敗しやすいポイントを10項目に整理します。

建設業許可の新規申請では「証明できるか」が重要です

建設業許可の新規申請では、主に経営業務の管理体制、営業所技術者等(旧・専任技術者)、誠実性、財産的基礎または金銭的信用、営業所の実体、欠格要件に該当しないこと、適切な社会保険への加入が確認されます。要件の概要は建設業許可の要件とは?5つの要件をわかりやすく解説で説明しています。

重要なのは、要件を満たしているだけでは足りない点です。実務経験が十分でも請求書や契約書が残っていなければ証明できず、資金があっても残高証明書の取得時期が合わなければ再取得になります。

ポイント1|建設業許可が必要な工事か確認していない

建設業許可が不要とされる「軽微な建設工事」には、次の金額基準があります(建設業法第3条第1項ただし書、建設業法施行令第1条の2第1項)。

建築一式工事 次のいずれかに該当する工事
① 1件の請負代金が税込1,500万円未満の工事
② 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
※主要構造部が木造で、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するもの
建築一式工事以外 1件の請負代金が税込500万円未満の工事

ただし、金額だけを見て判断すると危険です。次のような点で判断を誤ることがあります。

  • 消費税を含めた金額で見ていない
  • 材料費の扱いを確認していない(注文者が材料を提供する場合は、その市場価格または市場価格及び運送賃を請負代金に加えて判断します。建設業法施行令第1条の2第3項)
  • 同じ工事を分割契約にしている(正当な理由のない分割は、各契約を合計して判断されます。同条第2項)
  • 元請・下請の立場だけで判断している(下請であっても許可の要否は請け負う工事の内容・金額等で判断します)

また、許可が不要な金額でも、解体工事業登録や電気工事業法上の登録・届出など別の手続きが必要になる場合があります。要否の考え方は建設業許可が必要なケース・不要なケースとは?で詳しく整理しています。

ポイント2|取得する許可業種を間違えている

建設業許可は29の業種に分かれています(業種の選び方は建設業許可の29業種とは?選び方と注意点を参照)。多い誤解が、「建築一式工事の許可を取れば、専門工事もすべて請け負える」という考え方です。建築一式工事は総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事を想定した業種で、専門工事を単独で請け負い、その工事が軽微な建設工事に該当しない場合は、原則としてその専門工事に対応する許可が必要です(建設業法第3条)。

なお、許可を受けた業種の工事に従として附帯する他業種の工事は、一体として請け負える場合があります(建設業法第4条)。ただし、附帯工事でも500万円以上の工事を自ら施工する場合は、その業種の許可に必要な技術者を置く必要があり、置けない場合はその業種の許可を受けた建設業者に下請負に出す必要があります(宮城県「建設業許可の手引き」p.13)。

該当性は個別事情によるため申請窓口等に確認してください。現在請け負っている工事と今後受注したい工事を整理しておきましょう。

ポイント3|経営経験を証明する資料が用意できていない

経営業務の管理体制は、建設業法第7条第1号を受けた建設業法施行規則第7条第1号に基準が定められています。同号イに該当する場合は、「常勤役員等」(いわゆる経営業務管理責任者)を様式第七号で証明します。営業所技術者等は営業所で技術面を担う人の要件で(建設業法第7条第2号、様式第八号)、両者は別の要件です。

見落としやすいのは、常勤役員等も経営経験を資料で証明する必要がある点です。「社長を5年以上やっていたから大丈夫」では足りません。建設業法施行規則第7条第1号イに該当する場合、宮城県での代表的な確認資料は次のとおりです(手引きp.56)。

  • 法人の役員:役員を経験した法人の登記事項証明書または閉鎖した役員欄の謄本(期間分)
  • 建設業法施行令第3条の使用人:期間分の建設業許可申請書(表紙・様式第一号)と、着任時・退任時の変更届出書(様式第二十二号の二)の副本の写し。土木事務所等の受付印が確認できないものは不可
  • 個人事業主:経営経験を証明する期間分の確定申告書の写し

注意したいのは、これらが主に役職名と経験年数を確認する資料である点です。宮城県ではこれとは別に、その期間に建設業を営んでいたことを、①変更届出書(決算報告)の表紙と工事施工金額(様式第三号)、②工事請負契約書または注文書等、③発注証明書、領収書又は請求書及び入金確認書のいずれかで確認します(手引きp.56)。

役員だった期間を登記で確認できない、当時の確定申告書が手元にないといった場合は、経営経験を証明できないことがあります。常勤性の確認資料は営業所技術者等と同様で、同じ人が両方を兼ねられる場合もありますが、各要件は個別に確認します。

常勤役員等に該当する人の範囲は建設業許可の経営業務管理責任者とは?該当する人・しない人、営業所技術者等の資格や常勤性の考え方は建設業許可の営業所技術者等(旧・専任技術者)とは?で説明しています。

ポイント4|実務経験の年数だけで足りると思っている

営業所技術者等の要件を実務経験で満たす場合、年数だけでは足りません。宮城県では、実務経験の内容を次のいずれかで確認します(手引きp.69)。

  • 証明者が建設業許可を有している(いた)場合:変更届出書(決算報告)の表紙と工事経歴書の写し(期間分)。電子申請システムによる届出の場合は、申請・届出送信記録票も必要です
  • 証明者が建設業許可を有していない場合:工事請負契約書または注文書等の写し(期間分)と、発注証明書・領収書または請求書及び入金確認書の写し

見落としやすいのが資料の形式です。宮城県では、実務経験の確認資料として、工事請書のみの提出は認められず、注文者の押印がないものや担当者の押印のみの契約書・注文書等も認められません(手引きp.69)。「書類は残っている」と思っていても、形式が要件を満たさず確認できないことがあります。

常勤性は、法人では健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写しなど、個人事業主では確定申告書の写しで確認します。さらに、実務経験の内容だけでなく、その期間に常勤(または営業)していたことを示す資料も必要です。被保険者記録照会回答票、標準報酬決定通知書、確定申告書等(いずれも期間分)で確認します(手引きp.69)。遠距離通勤の場合は追加資料が必要です(FAQ参照)。

また、電気工事の実務経験は、電気工事業法の登録を受けて営業した期間または登録を受けた営業所に従事した期間に限られます。建設リサイクル法施行後の解体工事の経験は、土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可または解体工事業登録で請け負ったものに限られます(手引きp.69~70)。証明の実例は建設業許可の実務経験10年の証明で失敗しやすいポイントにまとめています。

ポイント5|財産的基礎の証明タイミングを誤っている

宮城県では、一般建設業の財産的基礎について、倒産することが明白でなく、かつ、次のいずれかに該当することを確認します(建設業法第7条第4号、手引きp.21)。

  • 自己資本の額が500万円以上あること(財務諸表の貸借対照表で確認)
  • 500万円以上の資金調達能力があること(取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書・融資可能証明書で確認)
  • 直前5年間、宮城県知事許可を受けて継続して営業した実績があること(更新・業種追加ではこの方法も利用できますが、新規申請では利用できません。手引きp.21、p.29)

宮城県での注意点として、預金残高証明書は申請受理前1か月以内のものが必要です(手引きp.21)。取得のタイミングはポイント9で整理します。

ポイント6|営業所として使える場所か確認していない

建設業法上の営業所には、本店、支店、常時建設工事の請負契約を締結する事務所などが該当します。単なる住所や連絡先では足りません(建設業法第3条第1項、建設業法施行令第1条)。宮城県の手引きでは、営業所は少なくとも次の要件を備えるものとされています(手引きp.14)。

① 請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
② 電話、机、各種事務台帳等を備え、居住部分等とは明確に区分された事務室が設けられていること
③ 建設業の経営経験を有する役員等(建設業法施行規則第7条第1号の要件を満たす者)または建設業法施行令第3条の使用人(①に関する権限を付与された者)が常勤していること
④ 営業所技術者等が常勤していること

自宅兼事務所やレンタルオフィスでは、他の用途の部分と明確に区分された事務室といえるか、電話・机等を備えて実際に営業所として使用できる状態かを確認する必要があります。契約後に認められないと手戻りが大きいため、契約前または申請前に申請窓口で確認してください。

宮城県では、営業所の写真を「写真台紙」にまとめて提出します。写真台紙は4項目(外観全景・入口付近・内部前景・建設業の許可票)ですが、新規許可申請では「建設業の許可票」の写真は不要です。台紙には営業所名・使用権原(自己所有か賃貸借か)・撮影年月日を明記します。なお、営業所所在地に疑義がある場合は、追加で資料を確認されることがあります(手引きp.33)。

自宅を営業所として使用する場合の確認ポイントは宮城県で自宅兼事務所の建設業許可は取れる?で詳しく整理しています。

ポイント7|古い定款をそのまま提出している

法人の新規申請では、会社が保有する現行定款と同一内容の写しを提出します。設立後に変更がない場合は原始定款の写し(公証人の認証部分を含む)、変更があった場合は原始定款と株主総会の議事録の写しを添付します(手引きp.27〜29)。

見落としやすいのは、変更を重ねている場合です。何度も変更があった場合は、現在の定款を改めてまとめたうえで、代表者による原本証明(書面申請で提出する正本1通・写し2通の計3部すべてに証明日、「当社の現行定款に相違ない」旨、所在地、名称、代表者の役職と氏名を記載)を行ったものを提出します(手引きp.29)。古い定款をそのまま出すと、差し替えを求められることがあります。

ポイント8|社会保険の加入状況を後回しにしている

建設業許可では、適切な社会保険への加入状況が確認されます(建設業法第7条第1号、建設業法施行規則第7条第2号)。「適切な」とは事業形態と常用労働者数に応じた保険に加入していることを指し、区分によっては適用除外があります。

宮城県の手引きp.67には、法令上の加入義務を整理した【社会保険等加入義務一覧】があります。法人で役員のみの場合は健康保険・厚生年金保険の加入義務があり雇用保険は適用除外、個人事業で一人親方等は3保険とも適用除外の区分です。適用除外の場合は、様式第七号の三(健康保険等の加入状況)の該当欄に「2」を記入します(手引きp.66~67)。

ここでいう「1加入」「2適用除外」は、建設業許可で健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況を確認するための区分です。国民健康保険や国民年金の加入義務そのものを示すものではありません。

また、健康保険被保険者適用除外承認を受けて建設国保等の国民健康保険組合に加入している場合も、健康保険欄は「2(適用除外)」となります。この場合は、適用除外承認証の写しと、資格確認書またはマイナ保険証の資格情報(マイナポータルから出力したもの)の提出も必要です(手引きp.66)。

注意したいのは、自社がどの区分に当たるかを確認しないまま進めることです。法人化などで加入区分が変わる場合もあるため、申請前に確認しましょう。加入手続きは社会保険労務士の業務範囲に関わる場合があります。

ポイント9|証明書類の有効期限と予約から逆算していない

登記されていないことの証明書と身元(身分)証明書は発行後3か月以内、預金残高証明書は申請受理前1か月以内のものが必要です(手引きp.21、p.27〜28)。早く取りすぎると期限切れになり、遅れると申請日に間に合いません。

さらに宮城県では、申請時に予約への協力が求められています。予約申込の開始日は土木事務所ごとに異なり、仙台・東部土木事務所は予約希望日の60日前、大河原・北部・気仙沼土木事務所は31日前からとされています(手引きp.23)。予約は先着順のため、実際に予約が取れた申請日から逆算して、各証明書の取得時期を決めましょう。

予約が取れた申請日から逆算するときは、申請が受理された後にどのくらいの期間がかかるのかもあわせて確認しておくと、全体の予定を立てやすくなります。詳しくは宮城県の建設業許可は取得まで何日かかる?で解説しています。

ポイント10|欠格要件を申請直前まで確認していない

建設業許可では、経営経験や営業所技術者等の要件を満たしていても、建設業法第8条の欠格要件に該当する場合は許可を受けられません。対象は申請者本人だけでなく、法人の役員等や建設業法施行令第3条に規定する使用人などにも及びます。

宮城県では、新規申請時に、提出対象となる法人の役員等や建設業法施行令第3条に規定する使用人について証明書を提出します。主なものは「登記されていないことの証明書」と「身元(身分)証明書」ですが、対象者によって必要書類が異なります(手引きp.27~28)。詳しくはFAQ Q4で整理しています。

欠格事由そのものに該当する場合は、書類を書き直すだけでは解決できません。申請準備の早い段階で、対象者と該当する事情の有無を確認しておきましょう。

建設業許可で不備を指摘されたときの整理方法

窓口で不備を指摘された場合は、慌てて直す前に原因を3つに分けて考えることが大切です。

  • 書き直しで済む不備:記載ミス、日付の誤り、様式の使い間違いなど。修正や差し替えで対応できることがあります
  • 追加資料で対応できる不備:添付書類や確認資料の不足、証明書類の取り忘れなど。補正や追加資料の準備に時間がかかることがあります
  • 要件そのものに関わる不備:実務経験、資格、営業所、財産的基礎、社会保険、欠格要件など。書き直しでは対応できず、申請方針の見直しが必要になる場合があります

申請様式は変更されることがあるため、以前ダウンロードしたものを流用せず、申請前に宮城県HPで最新の様式と手引きを確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 実務経験10年があれば営業所技術者等になれますか?

年数だけで自動的に認められるわけではありません。どの業種の工事を、いつ、どのような立場で行ったのかを資料で確認できる必要があります(ポイント4を参照)。

Q2. 残高証明書はいつ取得すればよいですか?

申請受理前1か月以内という期限があるため、予約が取れた申請日から逆算して取得します。詳しくはポイント9をご確認ください。

Q3. 自宅から営業所まで遠いのですが、常勤と認められますか?

宮城県では、現住所が勤務を要する営業所から遠距離にある場合(標準的な通勤経路で通勤時間が概ね2時間を超える場合)、通勤定期券や通勤経路図、高速料金領収証、ETCの利用明細書等の追加提出を求められます(手引きp.56、p.69)。距離だけで否定されるわけではありませんが、実態を示す準備が必要です。

Q4. 取締役が複数いる場合、身元証明書などは全員分必要ですか?

取締役は原則として全員分必要です。「登記されていないことの証明書」は経営業務の管理責任者分も必要です。一方、取締役でない相談役・顧問や5%以上の株主・出資者(個人)は、両証明書の添付は不要です(手引きp.27~28)。なお、外国籍の人は「身元(身分)証明書」の添付は不要です(手引きp.27)。

宮城県・仙台で建設業許可の申請準備に迷ったら

宮城県で建設業許可を申請する際は、予約や必要書類など県の取扱いを確認することが重要です。お問い合わせの際は、次の内容を整理しておくとスムーズです。

  • 現在の事業形態(法人・個人事業主)と法人化の予定
  • 主な工事内容と取得したい許可業種
  • 直近の請負金額
  • 経営経験の年数と、それを確認できる資料の有無
  • 保有資格と、実務経験を確認できそうな資料の有無
  • 営業所として使う予定の場所
  • すでに指摘された不備の内容

宮城県(仙台市など)での建設業許可の要件確認・必要書類の整理・申請書類の作成でお困りの場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。

運営事務所:行政書士村上敦志事務所

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村上敦志