
元請業者から「建設業許可を取ってほしい」と言われ、いつまでに取得できるのか気になっていませんか。
結論から言うと、宮城県知事許可の標準処理期間は、申請書が受理されてから35日です。
ただし、これは「許可を取ろう」と準備を始めてから35日で取得できるという意味ではありません。実際には、次の期間も必要になります。
- 申請前の要件確認・書類収集・申請書作成
- 宮城県での申請予約から申請受理まで
- 申請書が受理された後の審査
宮城県は、35日を「申請書が受理されてから許可されるまで」の標準的な期間としており、審査状況によってはそれ以上かかる場合があると案内しています。
そのため、元請業者から期限を示されている場合に重要なのは、期限から逆算し、余裕をもって申請が受理されるよう準備を整えておくことです。
この記事では、宮城県知事許可を中心に、取得までの日数の考え方と、急いでいるときに確認したいポイントを解説します。
宮城県知事許可は「準備・予約・審査」の3段階で考える
建設業許可の取得期間は、次の3段階に分けると分かりやすくなります。
| 段階 | 主な内容 | 期間に影響するもの |
|---|---|---|
| 1.申請準備 | 許可要件の確認、証明資料の収集、申請書作成 | 過去の書類や資格証明が揃っているか |
| 2.予約・申請受理 | 土木事務所の予約、要件確認・審査、申請・受理 | 予約枠の空き状況、不備の有無 |
| 3.審査 | 受理後の行政庁による審査 | 宮城県知事許可は標準35日 |
申請前の準備期間は一律ではありません。国家資格で営業所技術者等の要件を確認でき、必要資料も揃っている場合と、実務経験を過去にさかのぼって証明する場合とでは、申請までに必要な期間が大きく異なります。
実務経験で証明する場合は、契約書、注文書、請求書、確定申告書などを過去にさかのぼって確認することがあるためです。
申請準備の段階でどの書類が必要になるのかは、宮城県の建設業許可の必要書類とは?で、法人・個人事業主それぞれについて整理しています。
書面申請なら「受理された日+35日」が一つの目安
書面申請では、予約した日に管轄土木事務所へ申請書類を提出します。
宮城県では、申請内容が許可基準を満たしているか、記入漏れがないか、裏付け資料が揃っているかなどを確認し、必要事項が備わっていると認められると受理されます。
予約日に申請書が受理された場合は、その受理日から35日が許可までの一つの目安になります。
たとえば10月末までに許可が必要な場合、標準処理期間から逆算すると、9月下旬頃までの申請受理が一つの目安になります。
実際には、その前に要件確認、書類収集、申請書作成、予約が必要になるため、さらに前倒しして準備する必要があります。
なお、この日数はあくまで標準処理期間であり、許可日を保証するものではありません。
JCIPは「要件審査の予約日+35日」ではない
宮城県では、JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)による電子申請も利用できます。
ただし電子申請の場合は、予約日に35日を単純に足せばよいわけではありません。
宮城県の電子申請版手引きでは、次の流れになっています。
審査の予約 → 要件審査 → 電子申請・受付 → 手数料納付 → 審査 → 許可 → 通知書交付
JCIPで申請する場合でも、事前に管轄土木事務所の要件審査を受ける必要があります。要件審査は対面のほか、郵送による書面審査も可能です。
また、電子申請版の手引きでは、新規申請は申請後おおむね35日とされていますが、不備事項の修正・補正にかかる期間と手数料納付にかかる期間は含まれません。
したがって、電子申請を利用すれば必ず書面申請より早く許可になるわけではありません。(宮城県「建設業許可の手引き(電子申請版)」p.4~5)
宮城県では申請前に予約枠を確認する
宮城県では、建設業許可申請、電子申請に係る要件審査、事前相談、予備審査について、予約による申請への協力を求めています。
県の案内では建設業許可申請について予約制度が設けられているため、申請予定がある場合は早めに予約枠を確認しておくことが重要です。
予約は各土木事務所の窓口予約フォームから行い、申請の前日までに予約を完了するよう案内されています。
また、予約は先着順のため、希望日に予約できない場合があります。
予約開始日と審査日は土木事務所ごとに違う
主たる営業所の所在地によって管轄土木事務所が決まり、予約を申し込める時期と、許可申請等の審査日も変わります。
| 土木事務所 | 管轄区域 | 予約申込開始 | 許可申請等の審査日 |
|---|---|---|---|
| 仙台 | 仙台市、塩竈市、名取市、多賀城市、岩沼市、富谷市、亘理郡、宮城郡、黒川郡 | 予約希望日の60日前 | 月・火・水・木・金 |
| 東部 | 石巻市、東松島市、登米市、牡鹿郡 | 予約希望日の60日前 | 月・火・水・木・金 |
| 大河原 | 白石市、角田市、刈田郡、柴田郡、伊具郡 | 予約希望日の31日前 | 月・火・木・金 |
| 気仙沼 | 気仙沼市、本吉郡 | 予約希望日の31日前 | 月・火・木・金 |
| 北部 | 大崎市、栗原市、加美郡、遠田郡 | 予約希望日の31日前 | 月・火・木 |
審査日は、いずれも祝日などの閉庁日を除きます。
ここで注意したいのは、「60日前から予約できる」=「60日待たなければならない」ではないという点です。
実際にいつ申請できるかは予約枠の空き状況によります。
そのため、許可取得を急いでいる場合は、必要な許可区分や許可要件を確認した段階で、書類収集と並行して予約フォームの空き状況も確認しておくとスケジュールを立てやすくなります。
国土交通大臣許可はおおむね90日が目安
営業所が1つの都道府県内だけにある場合は、原則として都道府県知事許可となります。
一方、2つ以上の都道府県の区域内に建設業の営業所を設けて営業する場合は、国土交通大臣許可が必要です(建設業法第3条第1項)。
知事許可と大臣許可の区分は、工事を行う場所ではなく、建設業を営む営業所の所在地によって決まります。
東北地方整備局の「許可申請の手引き」では、大臣許可の標準的な処理期間は、東北地方整備局に申請書類を提出してから、おおむね90日程度が目安とされています。
この90日には、補正に要する期間や、審査に必要な資料の提出を求められてから申請者が対応するまでの期間は含まれません。
そのため、大臣許可を予定している場合は、宮城県知事許可よりも長めにスケジュールを見込む必要があります。
知事許可と大臣許可の区分をどう判断するか、営業所を他の都道府県に設ける場合に何を確認すべきかは、宮城県知事許可と大臣許可の違い|他県の工事はできる?で解説しています。
そもそも建設業許可が必要な工事か確認する
取得までの期間を考える前に、予定している工事に建設業許可が必要か確認しましょう。
建設業法第3条第1項では、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業の許可が必要です。建設業法施行令第1条の2では、建築一式工事以外は1件500万円未満、建築一式工事は1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅を軽微な建設工事としています。請負金額は消費税を含めて判断します。
なお、工事を複数の契約に分けた場合や注文者から材料の提供を受ける場合には、請負金額の計算方法に注意が必要です。許可が必要か判断に迷う場合は、契約前に確認しておくことが重要です。
金額の数え方や判定の手順は、建設業許可が必要なケース・不要なケースとは?で詳しく解説しています。
建設業許可を急ぎで取りたいときの確認事項
行政書士に依頼した場合でも、宮城県が定める標準処理期間そのものが短縮されるわけではありません。
急ぎの場合に重要なのは、申請前の手戻りを減らして、できるだけ早く受理まで進めることです。
まず、次の項目を確認します。
- 知事許可か大臣許可か
- 必要な許可業種は何か
- 契約予定日はいつか
- 予定している工事に許可が必要か
- 経営業務の管理体制を確認できるか
- 営業所技術者等の要件を満たしているか
- 管轄土木事務所の予約枠はいつ空いているか
特に重要なのが契約予定日です。
許可が必要な規模の建設工事を請け負って営業する場合、建設業法第3条第1項との関係では、単に「着工日までに許可を取ればよい」と考えるべきではありません。
許可が必要な建設工事を請け負う場合は、着工日ではなく、請負契約を締結する段階から許可の有無を確認しておく必要があります。
申請準備に時間がかかりやすい4つのケース
受理後の審査期間とは別に、申請前の準備にも時間がかかることがあります。
特に次のケースは注意が必要です。
1. 経営経験を証明する資料が揃わない
建設業許可では、経営業務を適切に行える体制があることが必要です(建設業法第7条第1号)。
確認のため、過去の契約書、注文書、請求書、確定申告書などが必要になることがあります。実際に経験があっても、許可申請ではその経験を資料で確認できなければ申請準備が進みません。古い資料を探す必要がある場合は、早めに確認しましょう。
2. 営業所技術者等の資格・実務経験の確認に時間がかかる
許可を受ける建設業ごとに、営業所技術者等の要件を満たす必要があります(一般建設業は建設業法第7条第2号、特定建設業は第15条第2号)。国家資格等で要件を満たす場合と、実務経験によって要件を確認する場合があります。実務経験を使う場合は、経験年数だけでなく、どの業種の工事を、いつ、どこで行ったのか、その内容を確認できる資料があるかまで整理する必要があります。
3. 法人の定款・事業目的を確認する必要がある
法人で申請する場合は、定款や登記事項証明書の内容も確認します。事業目的の変更に伴い変更登記が必要になる場合は、その手続に要する期間も考慮する必要があります。なお、登記申請は司法書士の業務です。
4. 申請書や証明資料に不備がある
申請書や証明資料に不備がある場合は、申請が受理されるまでに時間がかかる可能性があります。特に、次のような点に注意が必要です。
- 必要資料が不足している
- 実務経験を確認するための資料が不足している
- 申請書と証明資料の内容が一致しない
- 常勤性などを確認する資料が不足している
新規申請でこうした資料の不備が起きやすい場面は、宮城県の建設業許可|新規申請で失敗しやすいポイント10選で個別に整理しています。
法人成りを予定している場合は早めに確認する
個人事業主から法人化して建設業許可を取得する場合は、法人設立や登記に要する期間も含めてスケジュールを考える必要があります。
なお、すでに個人で建設業許可を受けている場合は、必ず法人で新規許可を取り直すとは限りません。建設業法第17条の2では、許可に係る建設業の全部を譲渡する場合、あらかじめ認可を受けることで、譲受人が建設業者としての地位を承継できる制度が設けられています。宮城県も、法人成りの場合にこの承継制度を利用できる場合があると案内しています。
なお、建設業法第17条の2に基づく認可申請はJCIPの対象外で、管轄土木事務所へ直接申請します。
法人成りを予定している場合は、新規申請と承継認可のどちらになるのかを早めに確認しておくことが重要です。
許可通知書は管轄土木事務所で受け取る
宮城県知事許可を書面で申請する場合は、各土木事務所の窓口での受付となります。
また、JCIPで電子申請した場合でも、宮城県では許可通知書の電子発行には対応していません。許可通知書は管轄土木事務所の窓口で直接交付されます。その際は、審査済みの建設業許可申請書(様式第1号)を印刷して持参します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 宮城県の建設業許可は何日くらいで取れますか?
宮城県知事許可の場合、申請書が受理されてから35日が標準処理期間です。ただし、申請前の準備や予約に必要な期間は含まれないため、準備開始から許可取得までが35日という意味ではありません。
Q2. 予約した日から35日で許可になりますか?
必ずしもそうではありません。書面申請では、予約日に申請書が受理されれば、その受理日が起算点になります。JCIPでは予約後に要件審査、電子申請・受付、手数料納付などがあるため、要件審査の予約日を起算点にすることはできません。
Q3. 元請から来月までに許可を取るよう言われました。間に合いますか?
現在の予約状況と申請書類の準備状況によります。宮城県知事許可は、申請書が受理されてから許可までの標準処理期間が35日とされているため、期限まで1か月程度しかない場合は、許可要件、証明資料、管轄土木事務所の予約枠を早急に確認する必要があります。
Q4. 電子申請なら早く許可を取れますか?
電子申請だから必ず早くなるとは限りません。宮城県ではJCIPによる申請でも事前の要件審査が必要で、不備の修正・補正や手数料納付にかかる期間は、おおむね35日の期間に含まれません。
Q5. 許可が必要な工事でも着工前に許可を取れば大丈夫ですか?
着工日だけを基準に考えるのは適切ではありません。許可が必要な規模の建設工事を請け負って営業する場合は、請負契約を締結する段階から許可の有無が問題になります。契約予定日から逆算して準備することが重要です。
宮城県の建設業許可は早めの準備が重要
宮城県知事許可の標準処理期間は、申請書が受理されてから35日です。ただし、実際の取得までには、申請前の準備や予約に必要な期間も考慮する必要があります。
特に、次のような場合は早めに準備を始めることが重要です。
- 元請業者から許可取得の期限を示されている
- 建設業許可が必要となる規模の工事を受注する予定がある
- 過去の契約書や請求書などの証明資料を確認する必要がある
- 実務経験による要件確認や法人成りを予定している
宮城県での建設業許可の取得時期や申請準備について確認したい方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。
工事内容、契約予定日、許可区分、証明資料の状況を確認し、申請までに必要な準備を整理いたします。
運営事務所:行政書士村上敦志事務所